2025.11.22
2025.11.22
さいたま市にはとある因縁が存在する。埼大生の皆様も一度は聞いたことがあるかもしれないそれは、浦和と大宮の対立である。
ご存知の通り、両者はさいたま市の中でも栄えている都市であるが、実はもともと別の市だった。それが合併に伴い、どちらが主導権を握るかの争いの火蓋が切って落とされた。それから100年も続くこの争いはもはやさいたま市のタブーと化していた……のだが。
2025年春、その争いに一閃の稲妻が走る。
それが偏愛伝説カードバトル「さいたま伝」である。

これは浦和と大宮のライバル関係に、これでもかと真正面から切り込んだカードゲームだ。2人のプレイヤーはそれぞれ浦和デッキと大宮デッキに分かれて、市民を定住させて陣地を取り合う。各カードにはさいたま市の実際のスポットが取り上げられており、埼大生御用達のロヂャースもカード化されている。
「あー、そういうご当地系のゲームね」と侮るなかれ!このゲーム、異様なほど面白い。
<強化デッキ>、<鍵>、<サイタマナ>などルール理解に必要な要素は少し多いものの、一度覚えてしまえばその奥の深さにハマること間違いなし。筆者はのめり込みすぎて、気付いたら朝だったことがある。少なくともTCGをプレイしたことがある人間は、魅力的に感じると思う。
そんな禁忌のカードゲーム「さいたま伝」だが、なんと今回その開発者の方々に詳しくお話いただく機会を頂いた。ぜひご一読いただきたい。
インタビュー
以下.筆者……筆 開発者の方々……P
製作を始めたきっかけ
筆)本日はよろしくお願いします!
P)よろしくお願いします!
筆)早速ですが、「さいたま伝」を制作したきっかけについて伺ってもよろしいですか?
P)そうですね、最初は埼玉のガチャガチャの取材の仕事で出会って、それから次やりたいことはなんだろうと考えた時に、浦和と大宮のライバル関係をいじりたいと。それでゲームサークルに参加し、仕事のご縁でメンバーが増えたりして、8人で製作しています。
筆)なるほど、そうだったんですね。
製作中特に苦労したこと
筆)「さいたま伝」を製作するにあたって、特に苦労したことは何ですか?
P)カード化するにあたって、関係各所に交渉するのは時間がかかりました。やっぱり大宮と浦和の対立を取り扱っている以上、関わるのは難しいと言われてしまうこともありましたね。製作中でまだ良いものか悪いものかも分からない状態でしたし。
筆)大宮VS浦和に踏み込んだ「さいたま伝」ならではの苦労ですね。
P)特に浦和と大宮両方のお客さんがいるようなお店は、どちらかの種類でカード化するともう片方のお客さんを失いかねないという理由で断られてしまうことも多かったです。
筆)なるほど。カード化する以上、どちらのデッキに入るカードか決めないといけないですもんね。
製作するにあたってこだわったこと
筆)そんな苦労があっての「さいたま伝」ということでしたが、特にこだわった点があればおしえていただきたいです。
P)一つあるのは、勝手に作ったさいたまのゲームにはしたくなかったということです。
自分たちの思い入れのあるさいたまについて妥協したくなかったので、カード化する場所は全て許可を取ろうというのは決めてました。
筆)なるほど。リスペクトは重要ですね。
戦略性が高いゲームですが、ルールに関するこだわりはありますか?
P)浦和と大宮の争いが分かりやすいよう、土地を奪い合う形にしたところです。横からぱっと見でもどちらが勝っているか分かりやすくなるよう工夫しました。
筆)市民の駒を置いて行って、占領したエリアには旗のカードを置いていくので、確かに一目で状況が分かりやすいですね。
筆)ところで、ご当地テーマのゲームは基本的に買い切りのボードゲームのイメージがあるんですが、このようにトレーディングカードゲームの形式にした理由は何かあるんでしょうか?
P)カードを追加しやすいからです。よく「さいたまは何もない」なんて言われますが、場所であったりカルチャーであったり、市民の愛着があるものはたくさんあって、そういったスポットを追加していける構造が適しているのがトレーディングカードゲームでした。
筆)そういうことでしたか。
楽しんで欲しい所
筆)最後に、「さいたま伝」のどのような部分を楽しんで欲しいですか?
P)やはりこのゲームは「強化デッキドロー」というシステムがあるので、ゲームの中でどんどんデッキを強くしていく楽しさを感じて欲しいですね。TCG好きな人にはぜひやっていただきたい。
筆)「強化デッキドロー」はプレイヤーの選択が肝心な動作なので、ゲーム性が高い要因の一つですね。
P)あとは、浦和と大宮の争いは、伝承していく文化だと思っていて、対立ネタを楽しんで欲しいです。仲の悪さが最大の魅力だと思っています笑
筆)仲の悪さですか笑
P)さいたま市の人たちにインタビューを行っていたんですが、浦和と大宮の争いについて、皆普通とは違う熱量がある笑
筆)面白い文化ですね
筆)本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございました!
P)いえいえ、ありがとうございました!
インタビューを通して、開発者がこのゲームにかけている情熱が伝わってきた。
さいたまに対する深い愛情と、卓越なるゲーム性の高さ。恐らくどちらが欠けていたとしても、「さいたま伝」はここまで魅力的なゲームにはならなかっただろう。
人を引き付けるものを生み出すのには愛と計算が必要であり、それは情熱なしでは成り立たない。ゲーム制作の面白さの一角を知ることができた、大変身に染みるインタビューであった。
インタビューにご協力いただいた開発者の方々、貴重な機会をいただき本当にありがとうございました。
さてここまでお読みいただいた皆様、この機会にぜひ「さいたま伝」をプレイしてみて欲しい。
スタートデッキはamazonなど各種ネットショップの他、埼大近くの本屋さん「一清堂」にも置かれている。本当に面白いので、一度手にとることをお勧めする。
また本記事公開日の11月22日に幕張メッセで行われる、ゲームマーケット2025秋にも出店する。こちらではなんと拡張パックが先行販売されるということで、期待に胸がおどりまくりである。
それでは「さいたま伝」のますますの発展を願って、この記事を締めさせていただく。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!